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【脳力開発のゴッドファーザー】成功人間!田中孝顕(福本博文)
《khon注:掲載書籍名にかかわらず、本記事は洗脳とは無関係です》
新宿の高層ビルに本社を構える株式会社エス・エス・アイは、田中孝顕によって1979年に設立された自己開発プログラムの販売会社である。
(略)
田中は、『脳力革命』や『自分を思いどおりに動かす!!』『人生を大きく生きる!!』といった著書をはじめ、成功者の分析家ナポレオン・ヒルが著した『思考は現実化する』や『成功哲学』『巨富を築く13の条件』など数多くの訳書を出版してきた。それらの本は、すべてエス・エス・アイの関連会社である騎虎書房から出版されたもので、各プログラムを販売するための重要な宣伝媒体になっている。
『聴覚刺激で頭の回転が驚くほど速くなる』を例にとれば、速聴の効果を全面的に謳うだけではなく、本の中に体験者の声を集めたパンフレットやアンケートを兼ねた資料請求ハガキが差し込まれている。読者は、そのハガキを送って資料が届けられた時点で、初めて各プログラムの料金を知らされる仕組みになっているのだ。
たとえば、アルファ波トレーニング用のプログラムSSPS―V2は、もっとも安いベーシックシステムでも76万円、コンプリートシステムに至っては145万円である。少なくとも、軽自動車を買うほどの出費を覚悟しなければならない。(略)
《khon注:上記の福本博文氏が追加取材を行って著述した「ワンダーゾーン」自己改造プログラムの「成功者」(株式会社文藝春秋 発行)の中に名誉毀損の記述が10箇所あるとして、平成14年1月7日、株式会社エス・エス・アイと同代表者代表取締役 田中孝顕氏が福本博文氏と株式会社文藝春秋を相手に1億1千万円(株式会社エス・エス・アイに対し7千7百万円、田中孝顕氏に対し3千3百万円)の支払いを求めて訴えた事件。平成15年1月23日、裁判所は10箇所中3箇所について名誉毀損を認め、20万円の支払いを命じた。控訴はなく、平成15年2月7日、判決は確定している。
「ワンダーゾーン」を読まれる方に、3箇所については「真実だと認めるに足りる証拠はないし、真実だと信じた相当の理由もない」と裁判所が判断したことを知らせる趣旨でここに紹介する。》
福本博文 著、株式会社文藝春秋 発行「ワンダーゾーン」自己改造プログラムの「成功者」
の中の名誉毀損として訴えた10箇所の記述(括弧内は名誉毀損の対象)
1 この種のプログラムは、「私は必ず成功する」などというテープやCDから流れるメッセージを繰り返し聴いて、自己暗示をかけてゆく。いわば催眠術を機械化したもの(原告会社) 222ページ 4〜5行目
2 厳しいノルマを課せられた同社の営業部員(原告会社) 223ページ 18行目
3 オウム真理教の信者がつけていたようなヘッドギアを頭に被り、南国の浜辺で寛いでいる場面を思い描くうちに、気分がリラックスしてきたのか脳からアルファ波が出てきた。が、このような訓練を繰り返しても、願望が実現するとはとても思えなかった。(原告会社) 224ページ 12〜15行目
4 “願望実現を図る”プログラムといっても、その実態は、テープやCDを聴いて自己暗示をかけたり、脳からアルファ波を出す訓練にすぎない。(原告会社) 225ページ 7〜9行目
5 本名は田中米蔵である。(原告田中及び原告会社) 226ページ 6行目
6 ユーザーの大半は、かつての田中のように、依存的な姿勢で自分の性格を改善したいと思っている人たちである。脳のメカニズムについてわかりやすく説明された後に、ただテープを聴くだけで願望が叶えられるという文章を眼にすれば、思わず縋りつきたくなるのかもしれない。(原告会社) 237ページ 13〜15行目
7 元社員によれば、一カ月に一人三千万円ほどの売上ノルマが課せられているらしい。(原告会社) 238ページ 19〜20行目
8 願望実現のプログラムを開発した本人は、決して幸せになっていない。(原告田中及び原告会社) 239ページ 14〜15行目
9 田中は、いまでも人付き合いが苦手である。事業が成功した後も、学生時代の友人とは一切交流がない。(原告田中及び原告会社) 239ページ 16〜17行目
10 田中は、米蔵少年の頃とさほど変わっていなかった。人前で指導力を発揮することもできず(原告田中及び原告会社) 240ページ 6行目
第2,7記述については、課ごとに販売目標が設定されていることは認められるが、営業部員一人あたり一カ月三千万円という高額なノルマが課せられていることが、真実だと認めるに足りる証拠はないし、真実だと信じた相当の理由もない
第6記述については、真実だと認めるに足りる証拠はないし、真実だと信じた相当の理由もない
主文
1 被告らは、原告株式会社エス・エス・アイに対し、連帯して20万円及びこれに対する平成15年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金額を支払え。
2 原告株式会社エス・エス・アイのその余の請求及び原告田中孝顕の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、原告株式会社エス・エス・アイと被告らとの間においては、原告株式会社エス・エス・アイに生じた費用の10分の1を被告らの負担とし、その余は各自の負担とし、原告田中孝顕と被告らとの間においては、全部原告田中孝顕の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第3 争点に対する判断
5 まとめ
以上によれば、被告らは、原告会社に対して、本件各記述のうち、本件第2、第6及び第7記述について、名誉毀損による共同不法行為が成立し(以下「本件不法行為」という。)、連帯して損害賠償義務を負うことになるが、原告田中に対しては、名誉毀損による共同不法行為は成立しない。